事業拡大の目的

昨日は介護事業者を訪問し、代表の話を伺った。
訪問介護、有料老人ホーム、デイサービス等
多角的に経営されている方だ。

まだまだお若く、４０代？いやいや３０代だよな、まだ。

でも、大変しっかりされている方で、物腰を柔らかく
こちらの質問に的確に応えていただけるので
上質の１時間を過ごすことが出来た。

２６歳の時に、お母様の事業を引き継ぐ形で代表に
就任されたとのことですが、ほとんど自分で手探りで
いままでやってこられた。

人材育成についても、学校や前の職場で、そのような仕事に
関わったこともなく、本を読んでみようみまねでやってこられたそうだ。

介護業界は、他の業界と同じように、いやそれ以上に
人が財産であるため、人材育成には大変力を注ぎ
気も遣ってきたとのこと。

やりがいのある仕事だが、身体的に精神的にハードな
仕事のため、定着率が悪く、採用しても辞めていく人が
多い業界なので、長く勤めてもらえるよう、いろいろ工夫してきたそうだ。

その一つに、作成したキャリア・プランを拝見させてもらった。

とても丁寧に作りこまれていたので、コンサルタントに
手伝ってもらったかと思ったが、自分たちで作成したそうだ。

実際に働いている人の意見を取り入れながら作成したことに
大変意義がありますね、と驚きの言葉を渡した。

更に、キャリア・パスに基づいて評価制度も導入し
試行錯誤している最中だった。

課題はこれから解決していくことになるが、なによりも
何のために、これらの制度を自分たちで作成したかということが大事。

それは、長期間働いてもらいたいから、自分の将来が
目で見ることができるように、それが目的だそうだ。

評価にしても、自分の働き具合が目で見えるようにするのが
目的の第一に掲げている。

それもこれも、自分が若く事業を始めた時から
頑張ってついてきてくれている社員の方に、頑張って
働いてもらいたいという恩返しの気持ちからだそうだ。

泣ける。


最後に、自分のこの仕事に掛ける思いを機会があるごとに
社員に語っているそうだが、その一つに、新規事業展開の
話もしているらしい。

幹部社員からは、「まだ早いですよ」とストップが
掛かるのだが、代表はやるき満々だった。

なぜ。

それは、サービスを必要としている高齢者がこれからもっと
増えることから、待っていられない状況であることと、

もうひとつ

人材育成のためポストを増やしたいとの思いからだ。

ポストが人を育てる。
これは代表の体験からの思いである。
だから、もっと多くの人にポストに就いて責任のある
仕事をして、育ってもらいたい。

そのために、事業を拡大してポストを増やしたい。
と純粋に考えておられた。

もう、言葉が出なかった。

思うことは誰でもできるが、それを実行にうつしている方の言葉は
胸を打つ。

これから、ずっと応援したい、と思わず宣言してしまった。

私も一緒に育っていこう、そんな思いを言葉で伝えました。

コメント 2

私の客先には老人保健施設があります。
私は、建物管理を通して施設の様子を見ています。
横から見ていても、苛酷な労働環境に加え、思うような所得が得られない業務が、従業員のモチベーションを下げていると実感がもてます。
国も改悪の保険制度を実施しますし....。
私はの感覚では、物言いが悪くなるかも知ませんが、人生の終焉を迎えようとしている老人は、決して健康にはならず、場合によっては、日に日に死に近づいていくことになります。
幼稚園児が日に日に成長していく達成感とは、モチベーションの位置付けは違うような気がします。
その中での、施設の皆さんの意識付けは、本当に大変なのではないでしょうか。
私の表面的な考えで申し訳ないですがそう思いました。
村松さん
頑張って応援して下さい。
by 伊藤 (2013-01-23 07:13) 

伊藤さん、貴重なご意見をありがとうございます。
近くで接していることで見えることもあるのですね。

なお、この介護施設では職員さんの退職する割合は
業界の中では低いそうです。

国から降りてくるお金は限りがありますので
職員さんのモチベーションをいかに保つのか
経営者は常に考えていらっしゃいました。

ほとんどの人がいずれ、何らかの形で
こういう施設におせわになることを考えると
今のうちから、良質の環境を整えてもらいたものだと
思いますね。
by むらひで (2013-01-24 07:03)